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人員基準欠如減算に猶予措置

介護現場の実態に合わせた制度見直しの本質とは

厚生労働省は2026年3月、介護報酬の在り方を議論する審議会において、「人員基準欠如減算」の見直し方針を示した。これは、介護施設や通所介護事業所などが定められた職員配置基準を満たせなくなった場合に、介護報酬を減額する仕組みである。

現行制度では、基準を下回ると原則として3割の減算が適用される。サービスの質を担保するための重要なルールである一方、近年の深刻な人材不足の中で、現場の実態と乖離しているとの指摘が強まっていた。

今回の見直しは、こうした状況を踏まえた制度の柔軟化であり、介護現場にとって大きな転換点となる可能性がある。


最大3か月の猶予措置を新設

突発的な人員不足に対応

見直しの柱となるのが、減算適用に対する猶予措置の導入である。

突発的かつやむを得ない事情によって人員基準を満たせなくなった場合に限り、年1回、最大3か月間(欠員発生月の翌々月まで)、減算の適用を猶予する仕組みが設けられる見通しとなった。施行は2026年6月が予定されている。

これにより、例えば急な退職や体調不良などで一時的に人員が不足した場合でも、直ちに経営に大きな打撃を受ける事態を回避できる可能性がある。


背景にある「構造的な人材不足」

制度と現場のズレが顕在化

今回の見直しの背景にあるのは、介護業界全体に広がる慢性的な人材不足である。

従来の制度は、人材確保が現在ほど困難ではなかった時代に設計されたものであり、現代の採用環境には適合しなくなっている。欠員が発生した直後から3割減算が適用されれば、事業所の経営は一気に悪化し、最悪の場合はサービス提供の継続すら困難になる。

審議会でも、「制度が現場を追い詰めている」という指摘が繰り返されてきた。今回の措置は、そうした現場の声を受けた現実的な対応と言える。


猶予は無条件ではない

採用努力と労務管理が前提

ただし、この猶予措置は無条件で適用されるものではない。

対象となるのは「突発的で予測困難な欠員」に限定されており、さらに事業所には以下のような対応が求められる。

  • ハローワーク等を活用した積極的な採用活動
  • 勤務体制の見直しや労働時間の適正管理
  • 残された職員への過度な負担の回避

つまり、「人が足りない」という理由だけでは認められず、改善に向けた具体的な行動が前提となる。

また、介護職員や看護職員が基準から1割を超えて不足している場合は、この特例の対象外となる。一定以上の人員不足はサービスの質や安全性に直結するため、制度として明確な線引きが設けられている。


医療分野と足並みをそろえた対応

今回の見直しは、医療分野における診療報酬の取り扱いとも整合性を持たせたものでもある。

医療現場でも人材不足は深刻化しており、一時的な人員不足に対して猶予期間を設ける仕組みが導入されている。介護分野でも同様の考え方を取り入れることで、制度全体としての一貫性と現実適合性を高める狙いがある。


「緩和」ではなく「再設計」

制度の本質的な転換

今回の制度変更は、一見すると事業者に対する救済策のように見える。しかし本質は単なる緩和ではなく、「現実に合わせた制度の再設計」である。

人材不足が常態化している中で、従来の厳格なルールを維持し続ければ、事業所の淘汰やサービス提供体制の崩壊を招くリスクが高まる。制度の目的である「サービスの質の確保」を守るためにも、一定の柔軟性は不可欠である。

一方で、安易に人員不足を容認する制度になってしまえば、本来の目的が損なわれる。そのため今回の見直しでは、「努力を前提とした猶予」という設計が採られている。


本当の課題はここから始まる

“時間を買う措置”としてどう活かすか

重要なのは、この猶予期間をどう使うかである。

単なる延命措置に終われば、問題は先送りされるだけで何も解決しない。むしろ、この期間を活用して採用力の強化や業務効率化、外国人材の活用など、構造的な改善に踏み込めるかが問われる。

今回の見直しは、「時間を与える制度」であり、「問題を解決する制度」ではない。


持続可能な介護体制への転換点

介護業界は、超高齢社会の進展により需要が拡大し続ける一方で、人材供給が追いつかないという構造的課題を抱えている。

今回の制度変更は、その現実を前提とした一つの対応策であり、今後の制度設計や現場運営に大きな影響を与える可能性がある。

制度の柔軟化を単なる「救済」で終わらせるのか、それとも「変革の起点」とするのか。
その答えは、現場の取り組みに委ねられている。

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