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統計から読み解く、中小規模施設の介護人材難。特定技能外国人採用が解決の第一歩になる可能性

介護現場では人材不足が深刻化しています。令和4年介護労働実態調査では、介護職員の約6割が就職3年以内に離職し、令和6年の調査でも30代以降は採用数より離職数が上回る状況が確認されています。離職した職員の多くは介護を辞めるのではなく、より条件の良い職場へ移ることから、職場環境が定着の鍵となっています。

とりわけ中小規模の事業者は、大規模法人に比べて給与や手当で不利な立場にあり、人材が集まりにくい構造的課題を抱えています。その解決策として注目されるのが特定技能外国人の活用です。強い就労意欲を持ち、柔軟な働き方に対応できる彼らは、中小事業者にとって安定した人材確保の第一歩となる可能性を秘めています。

1. 介護人材の定着率の現実

令和4年の介護労働実態調査によれば、介護職員の約59%が就職後3年以内に離職しています。さらに令和6年の介護労働実態調査で年令層別の介護職員・採用率・離職率・増減をみると30代以降の年代においては全て採用数より離職数が上回っている状況です。これは介護人材の定着がいかに困難かを示すものです。

一方で、離職した職員の約95%は再び介護職に再就職していることも分かっています。介護そのものをやめるのではなく、職場を変えることで環境改善を試みているのです。つまり、課題は介護職という仕事そのものではなく、各事業所における給与水準や職場環境の差にあります。

2. 給与水準から見える「人が集まらない原因」

令和6年賃金構造基本統計調査によると、介護職員(医療・福祉施設等)の所定内給与は21.6万円(0年目)〜26.1万円(15年以上)にとどまります。勤続15年以上でも昇給幅はわずか5万円前後です。

一方、他業種の事務職や営業職では同じ勤続年数で30万円台に達することが一般的で、賞与水準も介護職の2〜3倍に上ります。つまり、介護は「働き続けても報われにくい」職種と映りやすいのです。

そんな低水準の介護職員給与の中でも、令和6年賃金構造基本統計の年収換算:規模別:経験年数別のデータを見ると賞与も合わせた年収は1,000人以上の規模の法人と、99人までの規模の法人では40万円以上の差がついています。

このように中小規模の介護事業者は、大規模法人に比べて加算や手当を十分に活用できず、給与面でどうしても後れを取るため、採用競争で常に不利な立場に立たされています。

3. 離職理由から見える「職場環境の課題」

また、令和5年度介護労働実態調査では、離職の理由として「職場の人間関係に問題があったため」が34.3%で最も多く、その具体的な理由を見ると「上司の思いやりのない言動、きつい指導、パワハラなどがあった」が49.3%、「同僚の言動(きつい言い方・悪口・嫌み・嫌がらせなど)でストレスがあった」が38.8%を占めています。

この背景を読み解くと、上司か同僚かに関わらず勤続年数が長い職員が従来のやり方に固執し、新しい意見や新たに就職してきた人材を排除する職場構造が推察されます。

加えて、前述のとおり中小規模の介護事業者は構造的に給与水準が低いことも相まって、そこで働く職員は、少しでも給与や待遇の良い事業者が見つかれば、それをきっかけに迷わず転職するという流動性の高さにつながっていると考えられます。結果として、低い給与水準と職場文化の負のスパイラルにより、採用しても人材が長く定着することは難しいのです。

4. 若手採用の限界

職場環境の課題と給与水準の低さの二重苦により、中小規模の介護事業者は若い年代の人材確保が難しく、仮に採用できたとしても長期的に定着させることが困難です。採用・教育コストだけが積み重なり、人材不足の解消にはつながりません。

5. 特定技能外国人材がもたらす効果

一方、特定技能外国人介護人材は「日本でお金を稼ぐ」という強い目的意識を持ち、在留資格で認められた仕事だけをするため、一定年数介護現場で働くことが前提となっています。母国より高い給与水準を理由に来日する彼らはより稼ぐために、手当を受けて手取りを増やせる働き方を望む場合も多く、年齢も若いため夜勤を含む柔軟な勤務形態にも対応し、中小規模事業者にとって安定的な人材確保につながります。

6. 外国人採用のメリットと課題

【メリット】
・安定した人材確保
・外国人材が安心して稼げる環境を整えると一定の定着が望める
・職場の多様化による活性化と新陳代謝

【課題】
・日本語能力や生活支援コスト
・文化的な摩擦への配慮

ただし、これらは支援機関や教育研修で十分対応可能であり、中小規模事業者にとっては現実的な解決策です。

まとめ

介護職員の離職は、職場環境と給与水準の双方に起因しています。特に中小規模事業者では給与面で大規模法人に追いつくことができず、採用競争で慢性的に不利な立場にあります。さらに、職場文化が硬直化し、新しい人材がなじみにくい環境が人材の早期離職を招いています。

この悪循環を断ち切るためには、外国人材の積極的な採用が不可欠です。彼らは強い目的意識を持ち、在留している間は稼ぐために働き続けたいという思いがあります。慢性的な人材不足に直面する中小介護事業者にとって貴重な戦力となり、彼らを受け入れることで必然的にこれまでと違った職場環境をつくることになるため、職場環境改善へ向けた第一歩を踏み出すことになることでしょう。


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